店舗BGM用音楽ストリーミングサービス「OTORAKU -音・楽-」が描く未来。音楽による空間デザインを、手軽に楽しんでもらうために生まれたデジタル世代の有線放送。

モバイル端末とWi-Fi環境があれば工事不要で簡単に導入でき、約950万以上の楽曲からオーナー様の好みのプレイリストを作成しお店で流すことができる、店舗BGM用音楽ストリーミングサービス「OTORAKU -音・楽-」にフィーチャーします。”次世代型” 有線放送が生まれた背景と、今後の展望をご紹介します。

株式会社 USEN 事業開発統括部 OTORAKU事業推進部 企画推進課 佐藤 慎也さん(写真左)、重原 佑菜さん(写真右)

もっとお客様と音楽について話したい。お客様だけでなく、営業の想いも実現できるのがOTORAKU。

――― まずは、OTORAKUというサービスについて詳しく教えてください。

佐藤:サービスの本質的なところを表現するならば、いままでの有線放送よりも楽曲単位でご提案ができるため、「よりお客様と音楽について話せるサービス」だと言えると思います。

お店でどのようなBGMを流したいかといった話題も、これまでは500チャンネルほどある番組の中での提案に制限され、楽曲ベースではなく「ジャズ」や「クラシック」などのジャンルだけで語られることがほとんどでした。

既存チャンネルの範囲でしか提案ができなかった有線放送と違い、OTORAKUは細かい楽曲まで選んでプレイリストを作成することができます。そのため「誰の、どの曲が好きなのか」といった深い話題にも触れることができます。

一般的には「お店で使えるBGMアプリ」というのが、OTORAKUを表現するときに使うキーワードとして多いですが、お客様と営業とのコミュニケーションの距離を、「より一歩」近づけるサービスでもあるんです。

――― OTORAKUが生まれた背景は?

佐藤:お店で流す音楽は「自分好みの楽曲を流したい」「パソコンやタブレットで手軽に利用したい」といったニーズがある一方で、今までの有線放送をはじめとして、幅広い楽曲を使えて専用受信機の設置を必要としない商用音楽サービスは、ほぼ存在しませんでした。

当時、スマートフォンがあたりまえになりつつある時代で、皆のポケットの中にある端末が進化していくにつれて、各個人が求めるニーズも細かくなってきたなと感じていました。趣味嗜好なども必然的に細分化されてきます。

コンシューマー(C)であるオーナー様が店舗経営というビジネス(B)をしている以上、どこまでいっても一般消費者としての趣味嗜好でいろいろなモノを見て、感じている中で、僕らが提供していた商用サービスで、お客様のニーズに「真正面から答えられなかったもの」を突破するような新しいサービスが必要だと感じました。

流したい楽曲を音楽レーベルの垣根を越えて幅広く利用でき、タブレットとインターネット環境さえあれば手軽に楽曲を流すことができる。さらに、音楽の探しやすさ、見つけやすさ、使いやすさがある。

そのような、今の時代に合った商用音楽サービスの構築が求められていました。

その中で、コンシューマー向けの音楽アプリとは一線を画す、お店での利用にマッチした機能やインターフェースを搭載したサービスを開発し、世の中のニーズに訴求したいという想いが会社として強くなっていき、本腰を入れてサービス立ち上げをしていくことになりました。

――― その「一線を画す」という、コンシューマー向け楽曲配信サービスとの違いは?

重原:お店のような大人数が聴くような環境で、許諾なしで音楽を流すことは法律上NGなんです。そういった利用シーンを前提とすると、そもそも事前許諾を得ている楽曲ラインナップが950万曲以上あるという強みがあります。

機能軸で語ると、オーナー様が自らプレイリストを作成できるだけでなく、チェーン企業向けに店舗間でプレイリストの共有もできます。全国のお店の雰囲気を統一させるような、音楽によるブランディングも可能です。

時間帯に合った空間演出をするためのプログラムタイマーや、誕生日のお祝いシーンなどでよく使用されるカットイン(割り込み再生)ができたり、配線工事が不要といった従来の有線放送が持つ課題も克服しています。

佐藤:OTORAKUでは、日本を代表し、世界でも活躍しているDJやアーティストたちを「キュレーター」と呼び、各キュレーター陣が手掛けたOTORAKUオリジナルのプレイリストもご利用いただけます。単に各キュレーターの好きな曲をラインナップしてもらうのではなく、店内演出を想定した「音楽によるデザイン」というこだわりをもって選曲してもらっています。

こういったコンテンツがきっかけで商談の場が生まれ、実際に某大手アパレル企業での導入が実現したケースもあります。

お客様が自分のお店を「音楽でデザイン」する時に生じる様々なニーズに対して、ダイレクトに答えることができる。サービスを受け身で使うのではなく、能動的に使うことができる。それこそが、コンシューマー向けのサービスには無い「OTORAKUの価値」だと思います。

――― OTORAKUという名前に込められた想いは?

佐藤:「音楽」だったり「音」に共通するキーワードや著名な名前、仕組みの名前だったり地名だったり。あわせると1000案ほどの候補をあげました。そこから絞り込んで、役員とのロングMTGを繰り返し、いくつか候補を絞ったうえで宇野さんへプレゼンをしました。

その時の宇野さんの言葉にもありましたが、音楽というもの自体、こだわりをもって色々やろうとすると複雑になりがちです。たくさんの機械を繋ぐ必要があったりと面倒くさい。

そのため、興味があるのにわからないから手を出せなかったり、あきらめてしまう。そういったものを「一媒体」「一端末」の中で完結してあげることができれば、お店や施設など様々な商用環境で、各シーンのイメージに合ったBGMの「使いやすさ」をより感じてもらえるはずだと。

それは文字通り「楽(らく)さ」であったり「楽しんでもらう」からの連想だったりします。音を楽しみ、音楽を楽しむ。それをいかにお手軽に使ってもらえるか。そういったイメージがこの名称に込められています。

音楽で空間をデザインする。アートではなくデザインとして音楽を表現してみたいと感じた。

――― 重原さんは2019年入社とお伺いしましたが、学生時代はどのような事を学んでいましたか?

重原:学生時代は専門学校でWEBデザインを専攻しており、WEBやアプリの企画立案をはじめ、デザイン制作やサイト構築までを幅広く学んでいました。

インターネットがどんどん進化している中で、制限のない世界にたくさんの可能性があると感じていたんです。WEBやアプリを、自分が関わっていく媒体として考えたいなと思っていました。

OTORAKUはまさに商材自体がアプリなので、サービスを通してユーザーにどう触ってほしいか、どう動いてほしいかを考えながら、UIやUXのデザインを含めた様々な業務に携わっています。

常に、新しいOTORAKUの可能性を探求しています。

――― なぜ、USENに入社を決めたのでしょうか?

重原:学校で実施された企業説明会に参加したのがきっかけです。その時は漠然と有線放送を提供している会社だという興味で聞いていましたが、その中で「音楽で空間をデザインする」とお話しをいただいたことがとても印象深かったんです。

音楽はアートとしての一面が強いと思っていましたが、それをデザインとして捉えている会社は他にはないと考えました。

私自身がデザインを学んでいたことからも、今まで学んできたことを活かせる環境があると感じました。自分だったら、どのように「音楽」を「デザイン」として表現ができるか。そして、それを実際に自分が提供してみたいと強く感じたことが理由です。

――― お二人が所属している、企画推進課とはどのような部署ですか?

佐藤:企画職と聞くと、皆で新しいアイデアを出し合って、企画書にまとめてプレゼンして、今までに無かった新しい価値を生み出していくといった、クリエイティブなイメージを持つかもしれません。

もちろん企画の立案などもしますが、アプリの制作や運用、営業サポートや営業推進などもしています。複合的にOTORAKUというサービスを育てていくためであれば「なんでも」しています。

例えば、設置や商談の際に発生した疑問に関する社内からの問い合わせ対応もしますし、機能が追加された時や新しい販促キャンペーンを企画したり、ときには社内研修なども担っています。

OTORAKUを業務店市場の「あたりまえ」に。まだ見ぬ新しい価値を、自分の力で生み出したい。

――― OTORAKUならではのこだわりは?

佐藤:サービス開始当初は、UI・UXに配慮した使いやすさ、飽きのこないシンプルさを重視しました。また業務用アプリケーションではありながらも、店内演出が義務でなく、毎日お店でセットすることが楽しみになるようなデザイン性あるものにすることも意識しています。いかにスマートでおしゃれであるかを表現しようとしました。

既存の有線放送のチューナーは、どうしても店舗のバックヤードやカウンターの奥まったところに設置されることが多く、それ自体のデザイン性に日の目を浴びることは多くありません。サービス自体がもっと人目に触れる位置にあってほしい。そんな想いもありました。

しかし、当初はデザイン性を追求するあまり、せっかくの機能が日の目を見なくなってしまったという難しさもありました。

初めて「iPhone」や「iPad」を触った人などは「スワイプ」という操作がそもそもわからない。どうやって操作したらいいかわからないといった問合せが多発したんです。

そのため、後にリリースしたAndoroid版では機能軸に寄せて、大きなUIの違いを出してみたり。今でも試行錯誤を繰り返しています。

――― 異なる端末ごとにアプリケーションを最適化させる難しさもありそうですね。

佐藤:特にOTORAKUはお店で流すBGMを扱っているので、聴感上の違和感をできる限り抑えるためにも、一般的なアプリ以上に安定的に動き続ける必要があります。ごまかしの効かない要素がたくさんあるということです。

異なる端末での最適化を例えるなら、文化も言語も違う二人に対して同じ内容を説明し、覚えてもらい、同様のパフォーマンスをしてもらわなければいけない。

プログラムが全く違う言語で組まれていたり、その人の文化の中ではNGとなるような制限があったり。端末によって「できること」と「できないこと」がはっきり分かれていて、そういった制約面でも難しさを感じます。

今では950万曲以上まで利用可能な楽曲が増えましたが、楽曲の使用許諾という面でも様々なハードルがあり、従来の有線放送とは異なる難しさがありました。

――― 有線放送とOTORAKUの著作権処理は厳密に言うと異なると?

有線放送はあくまで「放送」であり、OTORAKUは「通信」として区分けされます。有線放送は常時流れているチャンネルがあって、テレビやラジオのようにユーザーが好きな時間帯に好みのチャンネルに合わせて流す「放送」となります。

一方、OTORAKUはユーザー側が自分で選んだ曲をプレイリストにして流すことができるので、「この曲をお店で流したい」となると、それはオンデマンド性のある通信として位置づけられます。

この区分の違いにより、権利処理の面ではまったく異なる運用が求められます。

放送サービスである有線放送は、簡単に言うと権利処理が事後処理で済むサービスです。USENはJASRACなどの著作権関係団体と包括契約を結んでいるので、その団体が管理している登録楽曲内であれば自由に使用ができます。最終的に1年を通して放送として流したことでこれだけの利益を得たので、著作権料として利益の何パーセントお支払いしますといった取り決めになっています。

この楽曲を使いましたという事後承諾で問題ないので、割と幅広い範囲で楽曲を流すことができます。

一方、OTORAKUは通信サービスです。通信として楽曲を扱うとなると事前承認が必要になります。あらかじめ、この楽曲を使わせてほしいと申請をして、各レーベルからの許可がないと使用することができません。

「放送」ではない「通信」であるが故の難しさですね。

――― OTORAKUがサービスインして5年が経ちましたね。機能面ではどのように進化しているのでしょうか?

佐藤:重原が携わっている、アプリを通じてお客様へリーチするための「プッシュ通知機能」は、従来のOTORAKUにはなかった機能です。重原が新卒で入社したタイミングで、当時のOTORAKUというサービスをフラットな視点で評価してもらって、改めて「必要なものって何だろう」というアイデアを発案してもらいました。

重原:新しいお客様を獲得し、今のお客様を逃がさないための様々なアイデアを出しました。その中のひとつとして、アプリを使ったサービスであるのだから、アプリを通じたコミュニケーションをOTORAKUにうまく実装できれば、お客様との距離感がより近くなるのではとイメージできたんです。

ある展示会で目にした企業が、アプリを通じてユーザーの行動パターンを取得・分析し、動向を追いかけて、場面ごとにふさわしいアクションができるように最適化する機能を扱っていました。

実際にそちらの企業にプレゼンをしていただき、社内決裁をとって実装しました。現在はそちらの企業と連携して、OTORAKUのユーザーがどのような動きをしているかを日々分析しています。

最終的なミッションはオンライン経由での新規顧客獲得の最大化なので、WEBから申し込みをいただいたお客様へ荷電をして、申込内容の確認などもしております。プッシュ通知という手段を戦略的に使い、アプローチしたお客様からの契約獲得までの全般を任せていただいています。

――― OTORAKUという商業用のサービスで「プッシュ通知」をする目的やメリットは?

重原:現在、7日間無料トライアルを実施しているのですが、せっかくアプリをダウンロードして試してもらったとしても、そのまま契約まで繋がらないことが多くあります。

これまではメールでお客様へアプローチをしていましたが、アプリを使っているのにアプリ上でコミュニケーションをしない手はないと思いました。直接アプローチできたほうが、契約までのコンバージョン率は高くなります。

他にも、アプリの操作性に慣れていないが故に「使いづらい」となって解約されてしまうケースも少なくありません。

使用方法に関するご案内をはじめ、新曲の配信情報や新しいプレイリストが追加されたといった情報を送ることで、よりリアルタイムで興味関心を訴求し、リテンションに繋げることもできます。

――― 最後に、今後のOTORAKUに対する想いを伺ってもよいでしょうか。

重原:純粋に、もっとたくさんの人にOTORAKUを使ってもらいたいです。このサービスだからこその強みやこだわりを、もっと多くのお客様へ届けて知ってほしい。

例えば、いまのOTORAKUはタブレットやスマートフォンなどの端末によって、画面の見え方や機能が異なっているんです。

どの端末でも同じように高い水準で、見せ方や使い勝手含めて、不自由なく使っていただきたい。そのためにOTORAKUというものをさらに成長させたい。実際にそれに携わりたいと思っています。

佐藤:OTORAKUを業務店市場の「あたりまえ」にしたいと思っています。BGMというものの価値や良さを、サービスを通じて感じてもらって、「お店を始めるならOTORAKUが必要だよね」という会話が自然に生まれるようになってほしいですね。

そして、OTORAKUの中もしくは、OTORAKUを通じた新しい領域で模索しながら、まだ見ぬ業務店市場の新しい価値を生み出していきたい。

OTORAKUに関しては全くのスタートからサービスの立ち上げに携わったわけではないので、ゼロから新しい価値を生み出すアクションにも携わりたいと思っています。

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